カタログ的な本やテレビ番組が好きです。
「カタログ的」の条件としましては、或るジャンルについて広く浅く紹介してある事と、押し付けがましくない事が挙げられます(つまり“これを聴きなさい”“あれを見なさい”“これが正しい鑑賞法ですよ”と云った内容の、手引き本の類とは異なります)。取り上げられている事物に紹介者の偏愛が感じられると尚善いです。何も立派と云われる作品ばかりが人の心を捉える訳では別にないですからね。
僕事20歳頃からクラシック音楽を好んで聴く様になりましたが、そのきっかけの1つが「世界の音楽」(?)と云うタイトルの本でした。たまたま家の本棚にあったのを、偶然手に取ってみた訳です。
こちらの本、カヴァーしているのはクラシックから現代音楽までで、それぞれの作曲家とその作品について年代順に数ページずつ綴ってあります。なので適当にページを繰って、気に入ったところだけ読む―と云ったスタイルに合っています(トイレでの読書に最適ですね)。
また、著者である野呂信二さんの、音楽家やその作品に対する愛情が伝わってきて、少なからず感化された様に思います。なんと申しましょうか、一生懸命書かれた文章です。
広い年代や地域に渡り、音楽家や曲にまつわるエピソードがかいつまんで書いてあり、その一方でここには書ききれない色々があると云う事も、どこか想像させてくれる一冊です。そしてそれも、僕がカタログ的な読み物に求める要素の1つです。つまりは余白と余韻があると申しましょうか。
テレビ番組で云うと「美の巨人たち」が善いです。
こちらは毎週30分ずつ、1人の作家の1作品を取り上げるので[カタログ]としては可なり深いところまで掘り下げられています。
この番組は兎に角構成が楽しく、作られた年代やその社会背景等の現実的な作品紹介をする一方、そこに作品をテーマとした短い物語を織り交ぜて、双方をリンクさせていく訳です。物語と云っても可なりくだけた内容で、芸術作品とリラックスして向き合える工夫がなされています。
入口を沢山作っておいて、そこに読み手が入って来るのを待つ―と云った姿勢は、何とも好ましいものです。(中野)
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