2014年3月31日月曜日

素晴らしい経験でした

 「エミリー教授の演劇実験室企画 VOL.2落語とお芝居のコラボレーション『憎さも憎し、なつかしし』大盛況でした!

 
 僕事、突如劇中音楽を担当させて頂く運びとなり、初日より数回お稽古に参加させて頂いたのですが、それから公演終了まで、坂口芳貞さんとさん喬師匠は以前より何かで御一緒されているものと思い込んでおりました。多分はお2人の間の空気にとても自然なものが感じられた為と存じます。公演の後パンフレットを読むに「お2人をお引合せすれば、必ず素敵なドラマが生まれるに違いない」という黒田絵美子先生の文章が目に映り、どうやら自身が早とちりした事知るに至りました。

 お稽古の際、黒田先生は「このお2人、いいでしょ?」と嬉しそうに仰っていたのですが、それは坂口さんとさん喬師匠の共演を実際に目にされ、御自身の直感の正しさを確認されて出た言葉だったのではないかと、今にして思う次第です。先生はお芝居をするお2人の姿を想像し、ニコニコしながら台本を書かれたのではないでしょうか。

 僕はと申しますと、劇中音楽を書かせて頂くなんて初めての事にて、何しろ勝手が分かりませんので、兎に角出来る限りお稽古に参加させて頂いた訳です。その様にして、芸を磨き続けてきた大先達と、音楽家として御一緒させて頂けた経験は自身を1つ成長させてくれたと感じます。また、何かの折に話題に上がれば、皆様が惜しみなくお話し下さる芸の話を拝聴する時間はとても贅沢なものでした。さん喬師匠のお弟子さんの、小太郎さんとさん坊さんの噺家としての姿勢にも学ぶところが多く、終始が得難い経験です。

 成長と云えば、あるまとまった作品を作る際そこになくてはならないのが“納得する事”です。自身が納得できるだけの、現在の最高値をたたき出す事でその次に作るものが(部分的にだとしても)今回よりも1つ深まったものになるからです。何かを作り続けるには、受け手のリアクションが大きな原動力となりますが、作品が不完全ながらも段々とその深みを増していく事は、作り手にとってやはり何ものにも代え難い喜びです。
 もし納得できるものを作る事が出来なかったら、この次また同じ事をやり直さなければならない訳です。まとまった何かを作る事はそれ相応の時間と労力を必要とします。労力と云うと少し簡単に過ぎるかも知れません。肉体そのものに直結した、恐らくはその人の存在と関わる有限の力です。無駄遣いしてしまえば、最終的に到達できる場所がずっと手前になってしまうかも知れません。
 さて、納得できるものを作り、そうして出来上がったものの不完全性を確認するという一連の手続きを踏む事で、今まで見えなかった次の段階に進む事ができる訳です。では納得できるものはどうしたら作る事ができるのかという話を致しますれば、時間や金銭等、実際的な環境がある程度整っている必要はありますが、重要なのが、納得できない時、どこをどの様に変化させれば善いのか分かるまでとことん作品と向き合うだけの体力と集中力です。また、自身が本当には納得出来ていない事に気付かないまま作業を先に進めてしまっている事もあるかも知れませんので(或いは妙な話と感じるかも知れませんが、こういう事はあります)、そうならない為に、作品の声だけでなく、自身の奥で発している声にも耳を澄ませる事が肝要となります。こうした作業に没頭している時間も作り手にとっては大きな喜びだったりします。(中野)

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